» 第22回 全国短歌フォーラムin塩尻 入選作品

第22回 全国短歌フォーラムin塩尻 入選作品

平成20年9月27日に開催しました
第22回全国短歌フォーラムin塩尻 一般の部 入選作品を発表します!!

最優秀作品(1首)

  • 二十五の吾が生まれ年ワイン買い父母の銀婚式へと急ぐ
    京都府京都市 麻倉 遥

優秀作品(5首)

  • 雨足は沢を下りて野仏の膝をしつとりぬらしつつ降る
    新潟県南魚沼市 田村史津子
  • 住み継ぎて故郷となりしわが町の秋は葡萄の香りより来る
    長野県塩尻市 福井 妙子
  • お祭りの秩父音頭の輪にありてもう客人でないわれがいる
    埼玉県秩父市 岡部すず子
  • 大樽にしづもるワインのかなしみの仄かに香る梁太き蔵
    愛知県名古屋市 岩田佐智子
  • 山ぶだう酒飲む夫とゐてつれあひと言ふ優しき言葉ふと思ひゐつ
    愛知県瀬戸市 青山美佐子

佳作「自由題」(8首)

  • ふわあんとあくびの移る空気感に長寿高齢者のちちはは在す
    愛知県新城市 伊田あや子
  • 愛のドラマ見つつし思ふ甘やかにあなたと呼びしことなかりしを
    茨城県結城市 草間 とし
  • 「おちこぼれ」「ふきこぼれ」という対句出る教育の現場は格差いや増す
    岐阜県中津川市 末松 裕子
  • 今にして気付くは遅し食の危惧荒れゆく土地と低き自給率
    長野県塩尻市 備前 百子
  • むくむくと湧きたつ雲よ日輪の常念岳に入りてしばらく
    長野県安曇野市 花村 千世
  • しがみつかれたぬくもり肩に残しつつ保育園から会社へ急ぐ
    長野県岡谷市 増沢 仁美
  • ブラインド下して事務所をあとにする縞の夕日を置き去りにして
    千葉県館山市 荻野 貴子
  • にんげんの言葉で嗚呼と鳴く鴉おまへに俺のあゝが解るか
    北海道音更町 花岡 和正

佳作「題詠」ワイン(5首)

  • ソムリエの捧げて語る一瓶に光あたりて物語開く
    福岡県新宮町 古野 桔梗
  • ゆっくりとグラス回せばワインゆれ記憶の中のひとりたちくる
    長野県塩尻市 雨宮かず子
  • 捨て難き亡夫の農衣に滲み込みしワインブドウの残り香ほのか
    長野県塩尻市 竹下貴美子
  • 間伐に山に入りし谷川で冷たきワイン友と味わう
    岐阜県下呂市 都竹 武彦
  • 初めてのワインゆっくり飲み干して二十二歳の恋終わりとす
    神奈川県座間市 江藤真佐子

入選作品「自由題」(15首)

  • 夕暮るる里曲に揺らぐ卯の花の人呼ぶごとし限界集落
    茨城県東海村 齋藤すみ子
  • 人工の関節この身になじみしか野菜作りの日々を賜る
    新潟県新発田市 今井 ムツ
  • 残されて独りの畑にも春が来てほんの少しの菜の種子を蒔く
    長野県塩尻市 竹下貴美子
  • ひとつずつ確かめるごと少年は横断歩道(ゼブラゾーン)の白ばかり踏む
    岐阜県関市 伊藤かえこ
  • 支えられ赤松林を歩む時悲しみ不意にこみあげてくる
    群馬県邑楽町 須賀志津子
  • さよならと言えば終れる恋のはず断ち切れずいる我がもどかし
    長野県小諸市 吉田 滿子
  • 吾の指をぎゅっと握りしみどり児の一途の力そのやはらかさ
    長野県塩尻市 塩原省一郎
  • 海底の手紙を鰈が拾ひしはなしあなたの遺骨のかけらが欲しい
    神奈川県相模原市 石井 恒子
  • 咲き満ちる枝垂桜の明るみに老いゆく二人も少し生きたし
    京都府福知山市 阪根まさの
  • 七拾年の店を閉ぢたり一文字の「塩」の看板軒にゆれ居る
    長野県塩尻市 塚原 愛子
  • 産休の代替教師は牛飼ひと結ばれ百頭の牛の世話する
    北海道稚内市 藤林 正則
  • 「気の小さい人の見る夢ね」言われてよりわが見し夢を妻に語らず
    東京都小金井市 高間 宏治
  • 運河をゆく舟に積まれし自転車の影水の上をならびて走る
    神奈川県横浜市 大久保 明
  • 朝の陽の明るき部屋に百年後ゐるやも知れぬみどり児ねむる
    長野県塩尻市 保科 郁夫
  • モルフォ蝶の妖しき色のシャドー塗り羽化せる少女軽やかに下車す
    長野県塩尻市 桃井 直子

入選作品「題詠」ワイン(10首)

  • カンツォーネ聞きつつワイン干す夕餉ナポリの旅に妻の華やぐ
    東京都世田谷区 小林 博之
  • あびるほどワインを飲みし若き日の夾竹桃の咲けるフィレンツェ
    長野県塩尻市 吉江 嘉教
  • 秋雨の冷たき朝は香りよきワインおとして無花果を煮る
    長野県信州新町 下村千寿子
  • 月を見に来よおうと応えてわが背子がワイン手挟み来たり真夜中
    静岡県伊豆市 舟本 惠美
  • 朝日子も容れて葡萄の袋かけ待つといふ日のまたはじまれり
    神奈川県藤沢市 由田 欣一
  • 浄瑠璃を謡いながらに手絞りにワインを造りし父の目に見ゆ
    山梨県笛吹市 関口 春江
  • 娘の婚の乾盃のワイン胃の代りなす食道にほんのりと沁む
    長野県飯田市 竹内 和子
  • 思ひ出が居ないあなたを連れて来るワインは二人で飲むものだつた
    長野県飯田市 木内かず子
  • 香り立つグラスを上げて向き合えど再びの恋には戻れぬふたり
    兵庫県三木市 竹谷 墨絵
  • 五センチほどのトマトの苗を三千本植ゑたる夜はワインに酔ひぬ
    栃木県那須塩原市 高松三枝子

奨励賞「自由題」(27首)

    • 瞑れどもまな裏いよよ冴えてゆく太き蜘蛛ひとつ殺めたる夜
      宮崎県都城市 間 瑞枝
    • 電灯に一本の紐が垂れている非常に淋しい世界がひとつ
      京都府綾部市 野田 璋子
    • 馬とびの我の背中にこころよき感触のこし子らは飛び行く
      北海道稚内市 及川 文子
    • 金柑のま白き花のゆふ灯(あか)り兄の命日近くなりにし
      茨城県結城市 諸 幸子
    • ひいばばと呼ばるるに慣れしをかしさよずしりと重きみどり児を抱く
      北海道別海町 長尾 和美
    • 星ひとつ闇夜の空に穴あけて地球見ている「私 此処 ここ」
      京都府京都市 菅原多摩子
    • 味噌汁の香りに目覚むそんな夢子が家建てし日すでにあきらむ
      長野県松本市 田中 靜子
    • つと触れて玉となる虫をかしかりすぐに這ひゆく夏草の中
      長野県松本市 古町 栄子

うしろ手で歩くを孫が真似をして吾が先を行くつかず離れず
長野県諏訪市 浜 浜雄

汐鳴りは夜汽車のひびき秋信濃広丘駅を北へと走る
福島県いわき市 伊藤 雅水

  • 着陸へ向ふ旅客機の風圧に合歓(ごうが)の花のくれなゐ戦(そよ)ぐ
    富山県富山市 木村 八朗

 

峡の田の畔まで大豆播きしこと休耕田に立ちて思はる
長野県塩尻市 米窪 卓朗

精神科棟三十余年この家に住むも不思議だひとり米研ぐ
鹿児島県いちき串木野市 橘木 重雪

  • あかときの棚田の水を見やりつつ九十歳が畦道にゐる
    宮城県石巻市 大和 昭彦

 

シャボン玉に映つたあぢさゐの庭割れてふるさとの家もう誰もゐず
奈良県大和郡山市 石川 路子

  • 苦瓜が血を吐くごとく種吐けり明日のいのちを思へど哀し
    神奈川県横浜市 綿貫 昭三
  • 黒豆の二葉出揃い一面に残照盛りて地球輝く
    黒豆の二葉出揃い一面に残照盛りて地球輝く
  • 白十字くっきりと咲くどくだみは孤独なるべし闇深くする
    新潟県柏崎市 秋月 睦子
  • 献体の役割終えて今帰る白さまばゆき夫の遺骨よ
    長野県上田市 奥村 森代
  • 利尻島を青く浮かべて日本海昆布干す浜に涼風送る
    北海道札幌市 高柳 とき
  • 嬰児の健診会場しずかなりふんわり漂うミルクの匂い
    長野県長野市 中澤千代子
  • 炎昼の水飲み場に首かしげいるカラスは蛇口をひねりたげなり
    静岡県沼津市 森田小夜子
  • お地蔵の帽子のふちに隠れゐて耳をくすぐる玉虫ひとつ
    兵庫県新温泉町 安田多加子
  • 幸せがフフフフフッと沸いてくる夕餉のご飯炊きあがるころ
    茨城県つくば市 宮本 晴子
  • 山小屋の石敷く屋根が鮮やかに現われ尾根のガス薄れゆく
    兵庫県尼崎市 澤田 進京
  • 新しい靴を履けばまたひとり新しい我が現れるなり
    北海道札幌市 笹崎 未歩
  • 木々の間を降りくる蛍点りては点りては宙にその数ふやす
    山口県岩国市 中村 蓉子

 

奨励賞「題詠」ワイン(16首)

  • とくとくと嬉しき音を聞きながら今年のワインをグラスに注ぐ
    東京都品川区 中原 兼彦
  • ワイン色のホームウェアに身の軽く野の道歩み来百歳の母
    茨城県大子町 高梨 とし
  • 筆談に「欲しいものは」と問うわれにワインと九十六歳の姑は応うる
    岐阜県 岐南町 藤田 正代
  • 黒曜に輝くぶどう発酵を遂げて試飲の人ら沸き立つ
    長野県塩尻市 奥原 光夫
  • 初めてのワインの酔ひに愛告げて去りたるひとのその後を知らず
    富山県富山市 大伴 拓
  • 大方は女性客なるバスツアー ワインの酔ひにはなやぐ会話
    富山県富山市 木村 八朗
  • 講演を終りて集う懇親会ワインで乾杯われは百二歳
    福岡県福岡市 昇地 三郎
  • なんとなく赤ワイン欲しき夏至の宵遺影の夫もそんな顔して
    長野県松本市 衣川 朝子
  • 彼(か)の昔卑弥呼住みしと人伝ふ安心院(あじむ)のワイン野葡萄神酒(みき)や
    大分県大分市 三宅 英明
  • 摘みかけのワインの葡萄置かれゐてミサきこえくる僧院の庭
    東京都杉並区 岡崎 祥枝
  • 畑仕事終へて昼餉の食卓にワインのありて喚声あがる
    長野県大町市 滝沢 和子
  • 漆黒のサバンナ走る食堂車に夫と味はふアフリカ・ワイン
    茨城県石岡市 森 美千瑠
  • 出荷せしわれの葡萄の色もあり明かりにかざす真つ赤なワイン
    長野県塩尻市 上條 孝子
  • 果てしなく葡萄畑はつづきいてナパバレーゆくワイントレイン
    長野県上田市 奥村 森代
  • 来年は貯水池となる予定の田今夜は早苗(さな)振りワインも買いぬ
    群馬県伊勢崎市 小暮 園枝
  • アルプスのヒュッテにワインを飲みおれば氷河崩落の音響きくる
    石川県金沢市 米永スミ子

※短歌に関しましては、原稿を忠実に掲載することを基本といたしました。
ただし、ホームページ上で表示できない文字(旧字体など)につきましては、表記を変更しております。ご了承ください。