第23回 全国短歌フォーラムin塩尻 入選作品
平成21年9月26日に開催しました
第23回全国短歌フォーラムin塩尻 一般の部 入選作品を発表します!!
最優秀作品(1首)
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橋上の駅の階段おりてゆく夕焼けの街に帰る家あり
長野県塩尻市 雨宮かず子
優秀作品(5首)
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白玉のごとく輝く一首あれかりそめならぬ一生の終りに
福岡県北九州市 中村 重義 -
農一途戰中戰後耐えて生き今なほ妻とりんご培ふ
長野県塩尻市 小松 永俊 -
「牛飼ひの見習ひ中です」リストラの教へ子二百頭の搾乳をする
北海道稚内市 藤林 正則 -
村ぢゅうがジャズに沸き立つ夏過ぎて畑いちめん蕎麦の花咲く
青森県八戸市 木立 徹 -
ですますで話しつづける二回目のデートは蕎麦屋昼酒をのむ
東京都渋谷区 本多 真弓
佳作(15首)
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開放の認知病棟一室に置かれし若き兵士の写真
香川県丸亀市 寒川 靖子 -
年とらぬものあやにくし享保雛時間を脱ぎしもののしづけさ
神奈川県藤沢市 由田 欣一 -
今はまだ配偶者とは言えぬけどあなたはやっと定位置に居る
兵庫県三木市 竹谷 墨絵 -
天明も天保の飢饉も生き抜きし集落(むら)いま飽食の世に消えんとす
長野県中条村 中沢 保雄 -
伊那谷に夕闇せまり来たるとき雪の甲斐駒ケ岳(かひこま)茜に光る
長野県高森町 北澤善二郎 -
遺骨なき父の骨箱受けし日に母が結びし紫の帯
長野県長野市 島田千鶴子 -
わが店を選びてくれし新卒の仕立ておろしの背広の匂い
岐阜県中津川市 小栗 八穂 -
核武装せよと云う声無視出来ぬ我の弱さを恥じる八月
長野県千曲市 高橋 定詮 -
牡丹一花ようやく綻び初めたり少年こころ開かずにいる
岐阜県高山市 上牧右田子 -
陣痛の合ひ間に年越し蕎麦啜り娘は元朝に男の子を産みき
長野県塩尻市 福井 妙子 -
遠く住み望郷の果てに常うかぶ蕎麦啜りゐし父の横顔
神奈川県座間市 勝家 幸子 -
農継ぐと腹をくくりし末の子が振舞ひくるる不揃ひの蕎麦
岐阜県岐阜市 成瀬 貞子 -
いちめんに蕎麦の花咲く畷ぬけ妹の嫁ぎし家を尋ねる
青森県八戸市 松尾 タイ -
川の水空に掲げて打ちくだす蕎麦の実を挽く水車がまわる
長野県松本市 小林 渥子 -
一面の蕎麦の花咲き風を生みこの山里の村興し成る
石川県内灘町 丹羽千枝子
入選作品(25首)
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ひともとのなんじやもんじやの白妙の花が出合ひの森にそよげり
兵庫県新温泉町 安田多加子 -
母の日にカーネーションの束飾りくるる癌手術間近に控へし娘
静岡県藤枝市 遠藤まさ子 -
浅間より秩父の谷へ降る灰は下見の板にうすく積もれり
浅間より秩父の谷へ降る灰は下見の板にうすく積もれり -
われを喚ばふ母の声して覚むる夜闇に青葉がしるくにほへり
東京都世田谷区 庄野 史子 -
野に返す日の近からむ杳き日に夫と拓きし田の畦に佇つ
長野県富士見町 牛山 求女 -
角砂糖みたいに職場に溶け込んできたり入社後二ケ月経ちて
東京都小平市 萩原慎一郎 -
癌三つ見事に克服したる友全員一致にて幹事に決まる
長野県長野市 相澤美恵子 -
ついに吾(あ)に子は授からず母の日は葱植え田には早苗植え居る
長野県伊那市 田畑有美子 -
いつよりか妥協しやすきわれがいて座らんとする椅子の軋めり
静岡県磐田市 伊藤 正則 -
身をひそめたばこ自販機の前に立つ禁煙きんえんと声が遠くに
長野県塩尻市 塚原 愛子 -
涸れ沼となりしを知らずモリアオガエルの卵塊あまた樹枝を震わす
千葉県千葉市 平野 則子 -
長兄の去りて九人の夫婦旅座席の一つに知らぬ人の来
香川県丸亀市 松繁 寿信 -
ひらがなの賀状届きぬ曾孫より五歳の指の力一杯
長野県塩尻市 塚原ます子 -
「戦友の焦げる手裏返し火葬する」その手の齎しし平和に生きをり
長野県飯田市 竹内 和子 -
こほろぎもミンミン蝉も鳴きまねる幼よ今宵も泣かず母待て
奈良県奈良市 宮本 郁江 -
そば作り体験学習割烹着の男孫に見惚れ参観終る
兵庫県小野市 田中 勝子 -
休耕となりし棚田にみ祖らの汗をしのびて蕎麦の種まく
長野県塩尻市 丸山 健三 -
上半身円く回して粉を挽く祖母のそばがき懐かしきかな
岐阜県中津川市 志津 美恵 -
活断層あらはに見ゆる山畑に人はひらひら蕎麦の種まく(牛伏寺断層)
長野県松本市 大澤 秀行 -
帰り道思いを告げた僕の目に君のえくぼと白い蕎麦花
長野県塩尻市 藤森 円 -
ふるさとの蕎麦殻の枕親しもよ耳を埋めて聞く母のこゑ
岐阜県各務原市 前田 靖子 -
「しら雲の消所なり蕎麦の花」千種嘉兵衛の句碑の拓採る
三重県多気町 笹木 文夫 -
初蒔きの淡い緑のそばの芽を一夜で荒らす鹿の群れ来て
長野県松本市 荻原 幸夫 -
百キロを来て誕生に間に合ひし婿にざるそば特特盛りにす
長野県松本市 横山 昌子 -
やがて積む雪の厳しさ思いつつ蕎麦打つ村の地蔵を撮りぬ
岐阜県中津川市 今村 典子
奨励賞(42首)
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うすあをきガラスの空をふるはせてトランペットを吹く春の日に
青森県八戸市 木立 徹 -
人恋うる夕べとなりぬ独り居の風の鳴るさえ人声と聞く
長野県塩尻市 小林けさ子 -
炎天下膝より低き草いきれ首一つのびて夏薊佇つ
新潟県新潟市 村山 睦 -
大食いと飢えの画像が交々に産み出されくる薄きテレビジョン
長野県松川町 鋤柄 郁夫 -
うたにのせ語りにのせた信濃なり空より広き十洲を抱く
長野県塩尻市 百瀬 壽平 -
自販機の光あかるく照らしおりブロック塀に羽化する蝉を
神奈川県横浜市 おのめぐみ -
このままに息絶えなばと思ふことつゆ無かりしや母の看護に
愛知県東浦町 林 成一郎 -
五十人同時に食事のケアハウスバイキングにて吾は百二歳
長野県塩尻市 若林 治美 -
転勤の辞令に見入る妻の目は栄転とのみ信じてゐるか
愛知県碧南市 岡田 銕夫 -
大振りの制服のなか揺れてゐる十三歳の弾む魂
長野県波田町 小林 寿子 -
大根を引けば太き穴深々と口開けぽかっと大地息吐く
三重県伊賀市 出後 幸子 -
暮れ残る庭木に小さく囀れる山雀の二羽体寄せ合ふ
山口県宇部市 小林 善子 -
前を行く若きに歩調合はせつつ喜寿過ぐ吾の闊歩さはやか
長野県塩尻市 小野 美和 -
幾度も命あやうく病みしこと夫と語らう金婚の宵
埼玉県川越市 高橋祐希子 -
父の背に負われて帰る貰い湯を思い出しつつ父を背負いし
新潟県糸魚川市 堀口 良作 -
一房のバナナの曲りゆったりとおのづからなる睦みのかたち
長野県塩尻市 小野 宗昭 -
心すこしひらきてものを言ひし日の夕べ楽しく道を歩めり
長野県上田市 近藤 良子 -
ひたひの汗小さき窓の風に当て十八個の便器みがき終へけり
静岡県袋井市 鈴木 和枝 -
させなかった私が悪い絶滅の危惧種のような夫を育てし
岐阜県関市 伊藤かえこ -
デパートよりも職安こみしと疲れたる子は帰り来て先ず水を呑む
岐阜県関市 川上いさを -
秋山郷の保存民家の入り口は底なき闇の土の匂ぞする
長野県塩尻市 小松 利子 -
「好きです」と告げられなかったあの方に今なら言える七十八歳
長野県塩尻市 小野須磨子 -
ケイタイの電話とメールの仲なれど女人とあれば妻の目を避く
長野県安曇野市 矢花 彪二 -
盲導犬すれ違ふときたしかなる獣の匂ひさせてゆきたり
岐阜県各務原市 前田 靖子 -
ランドセル頭の上に傘代り雷雨の中を声上げ走る
長野県飯田市 秋山優美子 -
大家族に育ち大家族に嫁ししわれ今一合の米を洗へり
岐阜県中津川市 吉村未知子 -
木曽馬の里はしぐれて雪まじり香りの蕎麦を待つ夕まぐれ
奈良県奈良市 糸白谷 勝 (苗字の一字目は糸偏に白) -
「そば刈りに行っています」と貼り紙のありて蕎麦屋は今日も休業
長野県下諏訪町 宮坂美惠子 -
蕎麦刈りて月蒼き峡となりしかな戸隠までをひたひた歩む
静岡県焼津市 定石 栄 -
ひとりぽっちなんて淋しいわいわいと一斉にひらく白き蕎麦の花
長野県塩尻市 雨宮かず子 -
沸騰後一分四十秒てふ茹で時間夫の蕎麦打ち近づき難し
長野県下諏訪町 高木萬知江 -
みすずかる信濃の国の蕎麦の味うるまの島のそばと比べむ
沖縄県糸満市 平良 宗潤 -
蕎麦の花いちめんに咲く山畑は暮れても暫し薄明かりする
長野県塩尻市 宮下 義郎 -
作付けは先づ蕎麦と決め焼畑に励みし日々よひもじかりけり
大阪府堺市 吉門やすし -
鳶の輪に収まる峡の村は今休耕田の蕎麦の花明かり
三重県伊賀市 出後 幸子 -
はや昏るる峡の棚田のひとところ花咲く蕎麦の雨に浮きたつ
群馬県高崎市 井田 善啓 -
蜂飼の使う沢水飲みてより熟れし蕎麦刈る夕焼の下
長野県岡谷市 中島 則子 -
蜜蜂の羽音通奏低音に語らい歩む蕎麦白き道
長野県塩尻市 山田 富康 -
年越の料理手伝ふ幼の手運ぶ蕎麦汁ゆらゆら揺らし
長野県塩尻市 河野 千尋 -
蕎麦好きの幼が買ふと選びたる蕎麦猪口の値札見て慌てたり
三重県四日市市 横井 久子 -
石臼を碾く緩急を覚ゆらし新丸ビルに蕎麦打つ甥は
東京都八王子市 刀根 卓代 -
教頭と職で呼ばれる味気なさ単身赴任コンビニの蕎麦
長野県塩尻市 塩原 義郎
※短歌に関しましては、原稿を忠実に掲載することを基本といたしました。
ただし、ホームページ上で表示できない文字(旧字体など)につきましては、表記を変更しております。ご了承ください。